概要


手動踏切:女性4人はねられ2人死亡、2人軽傷 足立
 15日午後4時50分ごろ、東京都足立区西竹の塚1の東武伊勢崎線竹ノ塚駅近くの踏切を渡っていた同所2、保険外交員、宮崎季萍(きへい)さん(38)と60代とみられる女性2人が、太田発浅草行き上り準急電車(6両編成)にはねられた。2人は全身を強く打ち、病院に運ばれたが間もなく死亡した。また、同区内の55歳と44歳の女性が転倒するなどして足や頭を打ち軽傷。遮断機は手動式で、死亡した2人は遮断機が上がったため渡ろうとしてはねられたとみられる。

 警視庁捜査1課と竹の塚署は、死亡したもう1人の身元確認を急ぐとともに、業務上過失致死傷容疑などで遮断機を開閉操作していた東武鉄道の男性社員(52)らから事情を聴いている。調べに対して社員は「準急が通過することは知っていたが、降りていた遮断機を上げてしまった」と供述している。

 調べや同社によると、準急電車の運転士は時速約90キロで走行中、約50メートル手前で踏切を渡る女性らに気づき、警笛を鳴らして非常ブレーキをかけたが間に合わなかったという。踏切は長さ33・2メートルあり、線路脇の詰め所に配置された踏切保安係社員がハンドルを回し、ワイヤーでつるした遮断機(長さ14メートル)を開閉操作する。

 電車が2キロ以内に近づくと警報ランプがつき、遮断機が上がらないようロックされるとともに、ブザーで知らせるシステム。遮断機を上げるにはロックの解除ボタンを押す必要がある。踏切の幅が長く、通行者が閉じこめられる危険性があるため、手動で開閉できるよう操作はマニュアルに定められていたという。

 事故当時は連続して上下計10本が通過するため、約10分間にわたってブザーは鳴りっぱなしで、遮断機は閉まったままになっているといい、社員がボタンを押したとみられる。詰め所には通常、ハンドル操作係と見張り係の2人がいるが、事故当時は引き継ぎ時間だったため4人がいた。

 開閉操作をしていた社員は、午後2時40分から勤務に就いていた。手動式遮断機を約18年間担当、この踏切でも2年間勤務していた。

 同社によると、手動式遮断機は交通量の多い踏み切りに設置され、同社ではほかに2カ所設置しているという。

 この踏切は、都が昨年6月にまとめた踏切対策基本方針で、交通渋滞解消のために立体交差化などを検討する重点踏切の一つにあげられた。しかし、工事が難しく、具体的な計画はないという。

 現場は竹ノ塚駅南側で商店が並び、事故当時は人通りも多かった。[MSNニュースより]